
2025年の卓球界は、1月の全日本選手権を皮切りに開幕し、5月にはカタール・ドーハで「世界卓球 個人戦」が開催された。さらに8月には「WTTチャンピオンズ横浜」が日本で初開催されるなど、国内外の大会が大いに盛り上がりを見せた。26年に向けて、さらなる熱戦が期待される。
そんな中、男子の主力として存在感を放ったのが、張本智和(トヨタ自動車)。国際大会で世界の強豪を次々と撃破し、タイトルを獲得。過去の経験を力に変え、エースとしてまた一段と進化を遂げた。
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■“4度目の正直”で初優勝を達成
2024年のアジア選手権で金メダルを獲得した張本智は、2025年の世界卓球(個人戦)でのシングルスメダル獲得を目指していた。しかし、3回戦で日本代表のチームメイト・戸上隼輔(井村屋グループ)とのまさかの同士討ちが実現し、1-4で敗戦。苦い経験を味わった。
その後、張本智は復調を果たし、8月の「WTTチャンピオンズ横浜」では快挙を成し遂げる。地元・日本開催の大会で決勝に進出すると、相手は世界王者の王楚欽(中国)。これまで2勝12敗、しかも8連敗中だった“天敵”を相手に、張本智は“チキータ封印”という秘策を持ち込み、ゲーム序盤から主導権を握る。得意のレシーブをあえて封印する新たな戦術が奏功し、3ゲームを連取。その後の反撃も封じ切り、王者を下してチャンピオンズ初制覇を飾った。
「今まで同じ負け方をしてきたので、負けるにしても次につながるような新しい試みをしようと。これまでは1、2ゲームを取られてから戦い方を変えていましたが、それでは遅い。今日は0-0の状態から思いきってみようと思いました」
「勝てたこと自体が想定外。ましてや3-0とリードできたのは、まったくの想定外でした。最終ゲームで4-3で勝てればいいという感じだったので、あれほどまでに戦術が引っかかるとは思わなかったです」
張本智はこの年、中国のトップ3である王楚欽、林詩棟、梁靖崑の全員に勝利。アジア選手権では銅メダルを獲得し、10月のTリーグ終了後には“対中国”で得た手応えをこう語った。
「林詩棟選手には6:4くらいの接戦で、梁靖崑選手とは『勝った・負けた』という戦いを繰り返す中で、五分の戦いになってきた。王楚欽選手以外には、胸を張って勝てると思いながら、今後は戦っていけると思えたのが、今回の収穫です」
張本智の2025年の集大成となったのは、12月の「WTTファイナルズ香港」。パリ五輪銀メダリストのトルルス・モーレゴード(スウェーデン)に勝利し、4度目の決勝進出で悲願の初タイトルをつかんだ。
迎える26年は、WTTシリーズに加え、4~5月にロンドンで開催される「世界卓球 団体戦」など国際大会が続く。殻を破った日本男子のエースが、さらなる飛躍を遂げられるか注目される。
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