
今週は牝馬のマイル最強馬決定戦、第21回ヴィクトリアマイル(GI、芝1600m)が東京競馬場で行われる。
今年は、昨年の二冠牝馬エンブロイダリー、オークス馬カムニャック、一昨年の二冠牝馬チェルヴィニアとGI馬3頭が参戦。一方、初GIを狙うのが、昨年の当レース2着クイーンズウォーク、秋華賞2着エリカエクスプレス、エリザベス女王杯2着のパラディレーヌに、小倉牝馬Sを制したジョスランといった面々で、実力伯仲の好レースが期待できる。
そんな中、順調に前哨戦を制したエンブロイダリーが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。
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■阪神牝馬Sは“負けるが勝ち”
昨年は桜花賞と秋華賞の二冠を制したエンブロイダリー。暮れの香港マイルこそ11着に大敗したが、今季初戦の阪神牝馬Sでは、鮮やかな逃げ切り勝ちでカムニャック以下を完封。勝ちタイムも1分31秒6の好時計で、順調な滑り出しを見せた。
過去10年のヴィクトリアマイルで、1番人気は【3.2.2.3】の成績で、複勝率は7割。エンブロイダリーは1番人気に支持される可能性が高く、安心の軸馬候補にも思えるが、それ以外の勝ち馬は4番人気以下から出ており、伏兵の台頭を許す可能性も高い。
そんな中、前走で阪神牝馬Sを勝ってしまったことが、実は大きな減点材料となる。過去10年、前走阪神牝馬S組は【4.3.5.56】の成績で、最も主要なステップレースであるが、1着馬に限ると【0.1.1.8】と勝ち切れていない。さらに遡っても、阪神牝馬S→ヴィクトリアマイルで連勝を決めたのは、2008年エイジアンウインズ1頭しか歴史上達成しておらず、中4週という短期間でマイル重賞を連勝するのは、実は難しい。阪神牝馬Sでは余力を残して惜敗し、本番で力を発揮する。それがヴィクトリアマイル制覇へ向けた最適解なのかもしれない。
■明け4歳の秋華賞馬が苦戦
次に、秋華賞とヴィクトリアマイルとの親和性の低さも懸念点として挙げられる。20回を数えるヴィクトリアマイルにおいて、前年の秋華賞馬が、明け4歳で当レースに参戦したのは9頭いるが、その成績は【1.3.0.5】で、過半数が馬券圏外に敗れている。勝ったのは2011年アパパネのみ。ちなみに、2020年アーモンドアイは5歳時に制しているが、秋華賞馬がヴィクトリアマイルを制したのはこの2頭のみで、いずれも牝馬三冠馬だった。
逆に2012年ホエールキャプチャや13年ヴィルシーナなど、秋華賞で敗れていた明け4歳馬は、5頭が勝ち名乗りを上げており、秋華賞組なら狙うは敗戦馬たち、という結論になる。無論、エンブロイダリーは桜花賞も勝っている堂々たる二冠牝馬であるが、4歳でヴィクトリアマイルを勝つチャンスがあるのは、牝馬三冠馬か秋華賞敗戦組、あるいは、クラシックとは無縁だった上がり馬、に絞られてくる。
またヴィクトリアマイルでは、戦法も重要な要素となり、逃げ・先行タイプは厳しい結果となっている。過去10年で逃げ馬は【0.0.0.10】と一度も馬券に絡んでおらず、4角2~3番手の馬も【0.4.3.50】で勝ち切れていない。エンブロイダリーは前走こそ逃げ切ったものの、本来は差せる競馬ができるタイプ。
それでも今回は、アイサンサンとエリカエクスプレスくらいしかハナを奪うタイプがおらず、自然と2~3番手に落ち着く可能性は否めない。そうなると、後方待機勢の餌食になる公算が高く、前めでレースができてしまうセンスの高さが、かえって仇となる可能性をはらんでいる。
エンブロイダリーは、東京マイルはクイーンC勝ちの実績もあり、コース適性に不安材料はなく、鞍上ルメールは6年連続3着以内を確保している相性の良いレースのひとつ。まさに堂々の主役候補であるが、前記で記してきたように一抹の不安材料も抱える。
ましてや、先週までの春GIで、1番人気が7連勝中なら、そろそろ止まりごろ、というオカルト的な要素も考え、少なくとも「頭」勝負は避けたい。
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◆著者プロフィール
石川豊●いしかわゆたか20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。


