【山口和幸の茶輪記】ラルプデュエズは2度上るものじゃない!
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コラム

ラルプデュエズはアルプスのリゾート地だが、ツール・ド・フランスがゴールする日にホテルを確保するのは至難の業だ。もしそこに宿が取れなかったら下山時の大渋滞は数時間かかり、一番近いグルノーブルにたどり着くのは深夜になってしまう。そんなときは奥の手があって、フランス政府の観光PR担当に紹介してもらい、滞在型アパートを1週間単位で借りる。
実際には1日だけ泊まればいいのだが、「1週間単位でしか貸さない」というのだからしょうがない。念のために「ボクが行くのは1週間の初日じゃなくて、ツール・ド・フランスがラルプデュエズにゴールする日だからね」と管理会社に連絡したら、「その日は交通規制で私たちもラルプデュエズに上れないからオフィスは開いてない」と。
いやあ困ったことになった。「アパートの鍵を地面に埋めといてくれ」と口から出かかったが、休息日を利用してラルプデュエズまで鍵をもらいに行くハメに。いい点と悪い点がそれぞれある。前者はツール・ド・フランス到着3日前のラルプデュエズを取材できること。後者はアルプス山中の往復600kmをドライブするだけで貴重な休息日が終わること。
ということで文句も言わずに、ラルプデュエズの不動産屋まで10時間かけて往復した。ボクの休息日はこうして終わったが、救われたのは連泊していたプロバンスのホテルの夕食に間に合ったことだ。
森の中のお屋敷のようなホテルだった。石造りの立派な建物、25mプールを見下ろすソファ席とバカンスを過ごすには最高。ホントならここでつかの間の休息日をのんびりと過ごすハズだった。
料理は石造りの館に隣接する林の中で食べる。ようやく真昼の暑さも一段落し、さわやかな空気がとても心地よかった。ローヌ渓谷のワインボトルリストをもらったが、それなりに高いので赤ワインをグラスでもらった。
激闘が続くツール・ド・フランス。それをほこりまみれになりながら追いかける取材陣。たまのひとときがフランス一周の旅の醍醐味を感じさせる。
《山口和幸》
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