【澤田裕のさいくるくるりん】自転車レーンの設置は、構造分離された自転車道実現の妨げとなるのか? | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【澤田裕のさいくるくるりん】自転車レーンの設置は、構造分離された自転車道実現の妨げとなるのか?

オピニオン コラム
自転車レーンをふさぐ駐車車両。この規制が不可欠なのは疑いない
自転車レーンをふさぐ駐車車両。この規制が不可欠なのは疑いない 全 4 枚 拡大写真
「あしたのプラットホーム」というブログが、自転車の車道走行を推進する自転車活用推進研究会(本サイトのコラムニスト、疋田智さんも同会メンバー)を批判していたため、興味をそそられて拝読しました。その大要は以下のとおりです。

同会は車道への自転車レーンの設置によって自転車と自動車を視覚的に分離しようとしているが、それでは車道上の自転車の安全を確保することも、レーンをふさぐ路上駐停車を排除することもできない。都市部においては車道と自転車道、そして歩道を構造的に分離することが唯一の解、そして世界の趨勢であり、同会は日本における自転車政策をミスリードしているというものです。

私自身も構造分離が不可欠と思っていた時期があり、ブログ氏の主張に首肯するところもあるのですが、構造分離を重視するあまり自転車レーンまで攻撃するのは、やはり為(ため)にする議論だと思います。

ブログにおいて氏は「自転車レーン推進論者は『駐停車車両の徹底排除』ばかり主張しますが、自転車レーンで排除に成功した事例は世界のどこにも存在しません」と述べる一方、「車道走行が困難な場合のママチャリには、歩行者優先で歩道走行を容認する。(※ママチャリには携帯使用や夜間無灯火を含め、徹底的な取締りと指導強化が必須)」と述べています。これは自動車の規制はできないなのにママチャリの規制はできるとするものであり、ダブルスタンダードだと言わざるをえません。自転車の歩道走行の危険を過小評価している点にも疑問を感じます。

ブログ氏も同会も構造分離された自転車道を理想とする点に違いはなく、さらに氏も経過措置としては自転車レーンの設置を認めているわけですから、同会の主張を槍玉に挙げてよしとするのではなく、自転車レーンの存在意義についても公平に評価すべきでしょう。日本の道路交通法では構造分離された自転車道が設置された場合、たとえそれが道路の片側のみであってもそこを通行しなくてはならず、なおかつその道は対面通行が認められるという重大な欠陥があることも付言しておきます。

僕自身は超高齢社会とされる日本において、高齢者に代表される交通弱者を自転車の脅威から守ることが喫緊の課題と捉えており、そのためにはまず歩道を、自転車が「走行」できないよう規制(徐行適用を厳格化)すべきと思っています。もちろんこの規制に甘んじたくないのなら車道を走ればいいわけで、その車道を走る自転車の安全を最低限担保するものが自転車レーンだと認識しています。ブログ氏が指摘するように路上駐停車の問題はあるにしろ、専用の走行空間が確保されることの効果は決して小さなものではありません。

さらに自転車の通行区分を明示した自転車レーンの設置は、車道を自動車(だけ)のものと考えるドライバーと、車両であることの自覚を欠いた自転車乗り、双方の意識にも影響を与えます。つまり自転車レーンが目に飛び込んでくることで、ドライバーは車道を走る自転車を邪魔者扱いできなくなりますし、逆に歩道の自転車乗りには、自転車が本来走るべき場所を教える結果につながります。

自転車レーンの設置は構造分離された自転車道実現の妨げとなるのではなく、むしろ後押しするものとなるというのが、現時点における僕の見通しです。

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