動力を持たないハンググライダーを用いた競技がハンググライディングだ。選手達は地形や気象条件から判断し上昇気流を次々と乗り継いでいき、大会では100kmを超えるゴールを目指す。
2013年の世界選手権では32位(日本人1位)、次の世界大会ではメダル獲得を目指すという鈴木選手に、競技や魅力について話を聞いた。
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▼ハンググライディングとは(日本ハング・グライディング連盟より)
“空を飛ぶスポーツの中で最も身近に始められるのがハング・パラグライディングと言えるでしょう。スクールは日本各地にあります。 ふわりと空にとけ込む開放感と浮遊感覚は、スカイスポーツならではの醍醐味でしょう。気象条件によっては、上昇気流に乗って大空を高く長く飛行することもできます。
国内のハンググライディング愛好者人口は約5000名。パラグライディング愛好者人口は、約2万5000人。年齢は10代から80代と幅広く、パラグライディング愛好者の4人に1人は女性です。
各地で行われる競技会に参加することや、クロスカントリーフライト(長距離を飛行)をすることも魅力のひとつです。競技会は日本選手権をはじめとする高レベルな大会から気軽に参加できるローカル大会まで数多く開催されています。また、世界選手権が2年に一度開かれ世界チャンピオンが決定されます。 ”
・ハンググライディングはどうしたら飛べるのか。(日本ハング・パラグライディング連盟)
・競技大会の予定(JHFハンググライディング競技委員会)
参考動画
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■ナウシカにあこがれた少年時代
---:まずは、ハンググライディングの魅力について教えてください。
鈴木選手(以下敬称略):ハンググライディングは肌で風を受けて、自由に飛んで動けるところが魅力ですね。自分の体を使って操作することになるので、自分の手足に羽が生えた感覚となり、まさに鳥になれる感じがします。高度を上げて飛んでいる時には、雲を上の方から見ることができますし、ブロッケン現象やダイヤモンドダストなど地球の自然現象にも出会えて、地球の自然を肌に感じれるスポーツだと思います。
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---:ハンググライディングとの出会いや始めるきっかけは?
鈴木:自分は、小学生の頃から空を飛ぶ夢を見ていたり、ジブリ作品を手がける宮崎駿監督の『天空の城ラピュタ』とか『風の谷のナウシカ』にすごい影響を受けて、”自分は将来空を飛ぶんだ!”と思い込んでいる少年でした。
中学、高校はバスケ部だったのですが、高校3年生のある時に、自分の家の裏にある多摩川の土手でパラググライダーの練習をしている人がいて。その人から話を聞いたり興味を持っていろいろ調べてみると、「ハンググライディング」というものがあるのを知りました。
これが、ナウシカのメーヴェとかラピュタに出てくる凧のイメージに近いと感じて、”これをやる!”と決めてハンググライディングのサークルがある大学を選んで受験したのが始まりです。
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---:ハンググライディングの競技があると知ったのは?
鈴木:大学時代に他のサークルの先輩がいて、その人は社会人が出ているような大会に学生のうちから出ていて僕も出てみようと思ったのがきっかけですね。
■アルバイトをしながらハンググライディングを続ける
---:今は、会社を辞めて競技に専念しているということですが。
鈴木:世界選手権を目指すとなるとお休みも増えますし、こんなに楽しいスポーツを、もっとみんなに知ってもらいたいと思いもあって、競技活動と普及活動に専念するため、2011年に会社を辞めました。2012年はスポンサーを獲得できたのですが契約は1年間だったので、経済的には苦しい状態が続いていて、今もアルバイトをしながら活動を続けています。
---:ハンググライディングにかかる資金はどれくらいのものなのでしょうか?
鈴木:初心者の人がハンググライディングを始めるにあたっては、中古のもので20万円くらいで、スクールに通うのにおよそ10万円なので、バイクの免許を取得して乗るイメージに近いです。競技活動を続けていく上で必要となる活動資金としては、練習や大会の遠征費用が主ですね。
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---:競技の世界でハンググライディングを続ける魅力というのは。
鈴木:僕自身、もともと何かを競うのが好きというのもありますが、競技で他の選手と一緒に飛んでいると、上手な人は上昇気流を見つけるのも速いですし、実際に50-100km飛ぶ中でも速く飛ぶことができるんです。競技の中で僕たちは渡り鳥みたいなことをしているのですが、渡り鳥の中でも速く自由に飛んでいるのがトップ選手なので、僕自身も”もっと自由に飛びたい”という思いがあり、そうしたところが魅力に感じます。
■100-200kmの距離を3-5時間で競う。30個の気流を乗り換えてゴールできるのは5割程度
---:ハンググライディングの大会では、どういったことを競うのでしょうか?
鈴木:スタートは、だいたい標高500mくらいの山から飛び出して、上昇気流を捕まえて1000-2000m以上の雲のところまで飛んでいくことになります。日本だと最高約3150m、海外だと4000mくらいまで登った記録がありますね。
上昇気流にもいろいろ種類がありまして、エスカレーターくらいの速さでゆっくり登っていくものもあれば、高層ビルのエレベーターぐらいの速さで登っていくものもあり、雲を見たり地形とかで判断して、いい上昇気流を捕まえるのがポイントになります。
日本の大会ですと50-80kmの距離を1時間-2時間かけてゴールする、海外の大会では100-200kmの距離を3-5時間かけてゴールする感じで、そのなかでいかに速くゴールするのかというのが、ハンググライディングです。海外の大会でいうと、30個ぐらいの上昇気流を乗り継ぐイメージで、上手く上昇気流を捕まえられないとゴールまでたどり着くことができず、実際にゴールできるのは2-5割です。
2013年の世界チャンピオンは49歳で、僕は33歳(取材時、2014年10月)でハンググライディングの世界ではまだまだ若手な方です。やはり経験がモノを言う競技だと思います。
---:今目標としているタイトルや今後の活動について教えて下さい。
鈴木:世界選手権でメダルを獲得することを目標として活動を続けています。2015年は、メキシコで開催される世界大会に日本代表として参加しますので、それに向けて練習と準備を進めています。一方、競技活動と合わせて、ハンググライディングの体験会やハンググライディングのショーも企画していて、普及活動も引き続きやっていきたいと考えています。
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