【小さな山旅】難台山のアップ&ダウン…愛宕山~難台山(2)
オピニオン
コラム

縦走するだけでも歩行時間は6時間を超え、ピストンでもしようものならば、走って登りでもしないと冬期は夕暮れまでに下山するのは時間的に厳しい。正月早々にそのような困難極まる登山はごめんと思い、吾国山は諦めて難台山まで歩くことに決めた。
難台山の標高は553mほどであるが、アップダウンが激しい。難台山を登ったのは、今回で2度目であったが、それでもだいぶ苦労させられた。
下りの際には少々生きた心地がするものの、下りたと思ったらまた登りが始まり生き地獄を味わう。この繰り返しが、体力とともに精神力をすり減らすのである。
あれは、山頂か?
アップダウンの連続に疲れが出始めた頃、眼前の登りの先の空が開けているのが見える。頂上が見えれば元気が出る。きつい登りも、この先に頂上があると思えば力がわく。
だが、いざ登りきってみると、登山道は先に続いており、頂上かと思っていた場所には「団子山」と書かれた看板が掲げられていた。確かに頂上には違いないが、頂上違いである。目指していたのは「難台山」であり、「団子山」ではない。
そうして再び始まるアップ&ダウン。登り、下り、登り、下り。アップ&ダウン、アップ&ダウン……。
アップダウンを繰り返している最中、筆者の脳内にはフィッシュマンズの名曲「ナイトクルージング」が流れていた。UP&DOWN,UP&DOWN,SLOW FAST SLOW FAST…。まさに難台山のアップダウンを象徴する歌詞である。作詞をした故・佐藤伸治さんは、難台山に登りながら詞を書いたのではないか? そんな「まさか」なことを真剣に考えさせてしまうほどに、難台山のアップダウンは強烈であった。
そうこうしているうちに、またしても頂上らしきものが登りの先に見えてくる。今度こそ頂上であってくれと願いを込めて登りきると、今度は「大福山」の看板が。
蜃気楼のように、近付いては遠ざかる頂上。筆者は砂漠に出現するオアシスの蜃気楼を思い出した。
果てしなく広がる砂の海を彷徨い続け、極限まで疲労した状態。一滴でもいいから、水を飲んで乾いた喉を潤したい。そんな状態で、目の前にオアシスが現れたとしたら。
鼻先に人参をぶら下げられた馬のように、勢いよく飛びつくに違いない。それが幻だとわかった瞬間の落胆ぶりを思い浮かべてほしい。難台山のアップダウンは、そのようなイメージがぴったりと当てはまる。
だが、これは蜃気楼ではない。歩いているのだから、確実に頂上は近づいているはずなのだ。今度こそ、今度こそと思い登りを越えていく。
登りの先に頂上があるという期待すらしなくなった頃、「難台山」の頂上にたどり着いた。
《久米成佳》
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