■最大7試合の短期決戦プレイオフ
プレイオフは短期決戦ゆえに調子のよい選手の活躍によって勝利をつかんだり、1試合の大敗によって流れを失ってそのまま敗退したりと、最大7試合全体で勢いや流れがあります。
実際にサンアントニオ・スパーズとマイアミ・ヒートが演じた昨シーズンのファイナルは、流れが顕著に見える戦いになりました。第2戦をホームで落としたスパーズはその後、脅威の修正を見せて破竹の3連勝。スリーピートを狙っていたヒートを圧倒しました。
力が拮抗するからこそ、流れが結果を大きく左右してしまうプレイオフの中で、クリッパーズ対スパーズは相手に勢いに乗らせきらない激しい戦いを演じました。クリッパーズはホームコートアドバンテージを獲得したものの、相手は昨シーズンの覇者にして、名将ポポヴィッチ率いるスパーズです。
少しの油断でホームコートアドバンテージの優位性をひっくり返されかねません。ホームコートアドバンテージを得たチームは、たとえアウェイで勝てなくとも、ホームで勝ち星を落とさなければ次のステージへ駒を進められます。
第1戦を危なげなく勝利したクリッパーズは、第2戦で痛恨のホーム敗北を喫してしまいました。
続く第3戦、クリッパーズは敗戦の尾を引き、スパーズのホームで27点差の大敗。
ホームコートアドバンテージを逃したとはいえ、やはり昨シーズンの覇者スパーズは強く、この勢いのままスパーズが勝利するかに思えました。
しかし、第4戦を前にクリッパーズのヘッドコーチ、ドック・リバースがチームに勢いを与えます。クリッパーズはオフェンスの質を向上させて、クリス・ポールが34得点をマーク。シュート本数も両チームの最多となる25本を放ち、さらに10本のフリースローをすべて沈めました。
第4戦をスパーズ相手にアウェイで勝利したクリッパーズ。戦績は2勝2敗の五分。両チームとも、次の1戦で王手をかけたいというところでした。
終始接戦を続けた第5戦、クリッパーズが逆転をかけたシュートをデアンドレ・ジョーダンがプットバックしようとしてインターフェアを吹かれるなどクリッパーズがポイントとなるシーンで決めきれず、スパーズが王手をかけます。
第6戦は再びサンアントニオに戻ることになりますが、第5戦にあったデアンドレ・ジョーダンプレイのワンプレイが、プレイオフ全体を左右するプレイになると思われました。
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