■最終第7戦も終盤までもつれる接戦に
2回戦進出を決めたいスパーズは試合の序盤からハック・ア・ジョーダン戦術をとり、クリッパーズのオフェンスのリズムを崩しにかかります。ですが、デアンドレ・ジョーダンはフリースローを15本中7本沈め、クリッパーズも各クォーター25点、もしくは26点と安定してスコアしていきました。
スパーズはマルコ・ベリネリがチーム最多の23得点をするもののクワイ・レナードの不調などもあってホームで敗戦してしまいます。
ここまでの熱戦を反映するような試合となった第7戦も最終盤まで同点でもつれる展開となりましたが、クリス・ポールがダニー・グリーンのディフェンスとティム・ダンカンのブロックをかいくぐってタフショットを沈めてリードを奪い、スパーズの追撃は届かずにクリッパーズが辛勝します。
結果、クリッパーズはホームとアウェイで2勝ずつと、熾烈な戦いを制しました。
1回戦屈指の好カードとなったクリッパーズ対スパーズは、予想をはるかに超える上質なサスペンス映画のような試合を繰り返し、劇的に幕を閉じました。相手に流れがいっても、次の試合ではきっちりと修正して、また自らに流れを引き込む。それが繰り返された7試合でした。
スパーズはビッグスリーを擁しながらもチームバスケットを崩すことなく、クリッパーズはクリス・ポールとブレイク・グリフィンという2大スターをオフェンスの中心とし続けました。
優れたシューターとして何度も試合を決めたクリス・ポール、パサーとしての能力も開花したグリフィンがいながらも、スパーズとこれほどの熱戦を演じられたのはチームとしての力の証明でもあります。
クリッパーズは続く2回戦はヒューストン・ロケッツとの戦いとなります。
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惜しむらくは、昨シーズンの覇者が1回戦で早々と姿を消してしまったことでしょうか。ティム・ダンカンは出場時間もクワイ・レナードと並んで最多でしたが、両足に怪我を抱えたトニー・パーカーやマヌ・ジノビリのパフォーマンスがより高く維持できたなら、別の展開もあったかもしれません。
とはいえ、今シーズンは昨シーズンのファイナルに出場したマイアミ・ヒート、ウェスタン・カンファレンスの強豪オクラホマシティ・サンダーが揃ってプレイオフ出場を逃し、ポポヴィッチの教え子たちが揃ってシーズン優勝を手にするという変化の兆しを感じざるを得ないシーズンでもありました。
プレイオフ屈指の熱戦の余韻冷めぬ中、新しい変化を予感しながら、今回の記事を結ばせていただきます。