---:トレーニングは普段どんなことをしていますか?
外村:競技的なトレーニングはトランポリンの上に乗ってクルクル回ること。トランポリンの試合では10個の技があるので10個練習するし、いきなりそれをやってもできるわけがないからパーツに分けてもやらないといけない。パーツをやってもできないとき、やっぱりこう1個の技からやらないといけないし、1個の技もできるわけじゃないから部分的に、宙返り、足から足までじゃなくて足から背中までのやつを練習したり…という形で細かく区切っていく。
それが正確にできるようになったら、できる範囲を広げていく形で練習していきます。すごく負荷がかかるので、体もできてないといけない。ダメージも負うので、そのためのケアだったり、エクササイズもトレーニングのひとつです。食べることもそう。何を食べるのか知識を付けることもトレーニング。体の調子を上げるケア、コンディショニングもトレーニングと考えてますし、そういうのを全部ひっくるめると生活全部に気を使わないといけないのかなと考えてます。
---:体を鍛えればいいわけでもないのですね。
外村:どの競技でも共通して言えることですが、単純に力がでればでるだけいいわけでもない。ウエイトリフティングでもそうだと思うんです。あれとトランポリンは似てると思うんですね。体付きが一緒というわけではなく、ウエイトリフティングは正確にバーを上に上げる技術が必要です。トランポリンは正確にトランポリンを真下に押して、体を伸び縮みさせることで上に上がる技術が必要。そんなところが似てると感じます。ウエイトリフティングに近い動きを、自分はトレーニングに取り入れたりしてるんです。
ウエイトリフティングは力だけあっても駄目。世界で一番重いものを上げるとなると、力を出せばいいだけじゃなくて、それを正確に全部伝えなきゃいけないんですよね。それには力というより、やはり技術も必要になってきます。そのバランスを正確に前後にぶらさない、左右にぶらさないということは意識的なところです。そこだけを見るとトランポリンとかなり似てる。
---:ウエイトを上げるには、その手順に力の入れ方を考えないといけないと?
外村:そうですね。軽いものだったら力任せに「エイ!」ってやって、ちょっとバランス崩しても耐えればいいけど、ギリギリのところでそんなことはできないですね。そうなってくると、じゃあバランスを崩さないために、そもそもまっすぐ真上だけに力を伝える技術が必要です。
---:トランポリンの動きを実現させるトレーニングが必要になるのですね?
外村:クルクル回るトレーニングですか?それは「ウエイトリフティングと近いですよ」とは、また別ものになってくるんですね。ただトランポリンの真上にジャンプをする、トランポリンを踏み抜く動きでいうとウエイトリフティングと似てる。そこからプラスアルファでトランポリンの上でクルクル回るとなってくると、トランポリンに特化したスキルのトレーニングが必要になってきます。
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■世界に「こいつヤバい」という印象を植え付ける
---:これからの意気込みを教えてください。
外村:オリンピック競技ということで、もちろんオリンピックを目指しています。本当に生まれたときから今までずっと変わらないのですが、オリンピックで勝つことが私の競技人生の中での最大の目標です。そこから考えると今年は、オリンピックの前年でとても大事な年なんですね。どういうふうに大事かというと、オリンピックの選考かかっているという選考レースが始まります。
それと先ほど言った演技点がネックという部分。演技点を左右するのは、演技点を付ける審判の印象も実はあったりするんです。どうしても人が付ける点数なので、その審判の心が影響してしまうことはしょうがないことだと思います。それを考慮すると、オリンピックで勝つためには前年、世界に「こいつウマい」「こいつヤバい」という印象を植え付けるのもすごく大事だと考えているんです。
そのためにはやはり、きちっと成績を積み上げてくことがとても大事です。成績を出していけばオリンピック出場権を獲得することにもつながります。自分の中の目標は当然、強くなる。トリフィスもそうですし、結局、全体的にうまくならないといけないのですが。
■編集後記
外村選手は5月に行われた「第2回全日本トランポリン競技年齢別選手権大会」で優勝。同時に2015年世界トランポリン選手権大会第1次選考会を1位通過となり、世界選手権日本代表入りが決定した。自身のブログのトップには、次のように記されている。
2008年 オリンピック出場の夢を叶えた感動を忘れません
もう一つの夢・メダル獲得を逃した悔しさも忘れません
2016年 取り逃した夢を叶えるために
今 全力で走り続けています
メダルをその手でつかむため、今日も外村選手はトランポリンで跳び続ける。
外村選手を応援する!