【澤田裕のさいくるくるりん】イベント参加…地元民が主体的に関わるもので、土地の魅力を味わう | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【澤田裕のさいくるくるりん】イベント参加…地元民が主体的に関わるもので、土地の魅力を味わう

オピニオン コラム
グルっとまるごと栄村100kmサイクリングのスタート前。累積標高が2800mに達する難コースに、多くのサイクリストが挑んだ(写真提供)輪工房
グルっとまるごと栄村100kmサイクリングのスタート前。累積標高が2800mに達する難コースに、多くのサイクリストが挑んだ(写真提供)輪工房 全 4 枚 拡大写真
千葉県野田市と埼玉県春日部市の両市にサイクルショップを構える「輪工房」の店長、田口信博さんは本業の傍ら、サイクルイベントの運営にも積極的に関わっています。

地元となる野田市では、自転車道の整備を公約に掲げて当選した市長の肝いりで、1995年から野田関宿60kmサイクリングと清水公園でのクロスカントリーレースをスタート。前者は野田周遊サイクルオリエンテーリング"チャリロゲ"に、後者はMTBクロスカントリーレース in NODAに引き継がれて今も続いています。

長野県栄村で催されるグルっとまるごと栄村100kmサイクリングも、田口さんが運営に関わっているイベントのひとつです。もともと彼の友人が冬場にスキーで訪れたとき、夏場のスキー場活用策としてMTBレースを提案したのがキッカケ。後に村からの要望があって訪れたものの、スキー場自体はレースに不向きと判断し、公道を走って完走を目指すサイクリングイベントとして立ち上げました。


「輪工房」店長の田口信博さん

その際に田口さんが懸念したのは、栄村の名がサイクリストには知られていなかったこと。前述した清水公園は100年を超す歴史を誇り、東武アーバンパークライン(野田線)の駅名にもなっています。ですからその名はよく知られ、園内をMTBで走行できるというだけで集客を見込めます。対する野田関宿60kmは距離もロケーションもネームバリューも決め手に欠け、集客に苦労していました。

そこで栄村100kmでは村内の道をつなぐだけで100kmになること、さらに山がちの地形ゆえ累積標高が2800mに達することをアピール。加えて村内の1エリアでありながら、秘境として名高い秋山郷を前面に押し出しました。そのおかげか参加者はコンスタントに400人ほどとなっています。もちろん他のイベントに比して多い数ではありませんが、2000人強という村民数を考慮すると、これ以上はかえって地元の負担になってしまいます。私設のエイドステーションに代表される村民の心配りも、規模の小さなイベントならではでしょう。

これはマラソンの例ですが、2万3000人もの参加者に対して主催者側の準備がまったく不十分で、交通渋滞にはまってスタート時間に間に合わない人が5000人も出たり、回収バスの数が足りず、途中棄権した人が1時間以上待たされるという事態が発生したことがあります。サイクルイベントではここまでの話は聞きませんが、エイドステーションに用意された補給食が途中でなくなったとか、ゴール前に渋滞が発生して正確なタイムを計測できなかったという例があります。


埼玉県春日部市のユリノキ通り沿いにある「輪工房」春日部店

参加費についても話をうかがいました。「ネームバリューのある場所で行うイベントなら、少しぐらい高くても『あそこを走れる!』ということで参加者を集めることができます。もちろん、それでもうけようということではなく、飛賞をたくさん設けて多くの人に当たるようにしました。普通は成績上位者にしか賞がありませんから、これは好評でした」とのこと。

一方で専門の会社が運営に関わるイベントは、経験の豊富さゆえソツなくこなしているものの、会社のもうけを出すため参加費は高くならざるをえません。参加賞などの景品も、既存グッズにイベント名を付したものが大半。地元で穫れた米や野菜など、村民の"思い"が込められた栄村100kmの景品とは好対照です。

参加するイベントを選ぶ際は、そこに何を望んでいるのかを明確にすることが大切。「その土地ならではの魅力を味わいたい」というのであれば、規模は小さくても地元の人が主体的に関わっているイベントがいいでしょう。

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