諸事情により中止となったが、社会人と大学との対決は、その年のアマチュア野球の総括という点からも興味深いものではあった。現在では、社会人野球と大学野球との公式戦対戦はなくなっている。
閑話休題、今年の大学野球と社会人野球を振り返ってみよう。
■大学野球は関東勢に軍配
近年、大学野球は中央集権型から地方分散化してきたとも言われてきたが、2015年に限って言えば、6月の全日本大学野球選手権も、11月の明治神宮大会も、ベスト4以上はいずれも関東勢が占めた。しかも、選手権は東京六大学連盟の早稲田大、明治神宮は東都大学連盟の亜細亜大と老舗の連盟代表校が優勝して、収まるところに収まった印象だった。
早稲田大は、層の厚さでは大学No.1と言ってもいいであろう。リーグ戦では春秋を連覇して力を示した。秋は優勝に最も近かった明治大が敗れたことで、ライバルの慶應義塾大との早慶戦で決着になったが、最後に層の厚さを示した。
投手陣では大竹耕太郎(2年・濟々黌)、小島和哉(1年・浦和学院)らが経験値を上げて来シーズン以降へつなげられるのも心強いだろう。
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東都リーグ、日大対青学
東京六大学の話題としては、東京大が法政大に勝って連敗をストップさせたことも大きく取り上げられた。東大があってこその東京六大学である。東大がいつどこに、どうやって勝つのかは、絶えず注目されている。その東大では、リーグ戦で好投した山本俊(3年・西春)が来年どのように成長しているのかも楽しみとなる。
一年を締めくくる明治神宮大会で実力を示した東都連盟は、この秋は雨で日程が大幅に流れて、最終戦で亜細亜大と國學院大の一騎打ちで優勝決定という形になった。昨年春と同様のシチュエーションとなったが、結果はまたしても亜細亜大が勝負強さを見せつけた。
2点リードしていながら逆転負けを喫した國學院大は、改めて亜細亜大の壁を痛感することになった。この東都リーグも優勝に最も近かった専修大が敗れたことで、両校の最終戦に勝った方が優勝という大一番になった。戦国東都のキャッチフレーズ通りだった。
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試合前、応援団のトレーニング
■戦国リーグが始まる
戦国東都と言えば、春は二部から復活したばかりの専修大がいきなり優勝。下剋上を示したのだが、秋も二部から上がった日本大が國學院大に連勝して勝ち点を挙げたことから戦国リーグが始まった。
その一方で、昨年秋の優勝校・駒澤大がこの秋、東洋大に敗れて二部落ちしている。勝っても翌シーズンはわからないという戦国東都は、今後も続いていきそうだ。
首都連盟の雄・東海大はリーグ編成やリーグ戦方式が変わった中でも安定した強さを示していた。完全試合を達成した丸山泰資(3年・東邦)をはじめとして豊富な投手陣は健在である。リーグでは、横井人輝監督は終盤には1イニングずつ、あるいはワンポイントという贅沢な投手起用をしていた。
来春から首都連盟は旧来の6校のスタイルに戻すことになった。こうした編成の動きは、連盟の運営事情もあるようだ。
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