このような規制は各地で始まっており、2015年3月5日公開の本コラムで紹介した玉川通り(国道246号)も同様。そしてバス専用レーンへの転用にとどまらず、道路構造そのものを見直して歩道を拡幅(3.5m→6.5m)、片側2車線を1車線へと減らしてしまったのが、2015年10月29日公開の本コラムで紹介した京都市の四条通(東大路通~烏丸通間)です。
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四条烏丸交差点付近では渋滞が発生。交差点に進入しかけたところで停車を余儀なくされたクルマも
このような規制あるいは道路構造の見直しに対しては、特にドライバーから「渋滞が激しくなる」といった声が上がります。四条通についても250m先の停留所まで20分掛かった路線バスの事例について、「歩いたほうが早い。せっかくの観光なのに時間が惜しい」という乗車した学生のコメントが紹介されていましたが(「京都新聞」2015年4月2日)、健常な学生であれば250mぐらいの距離は歩いたほうがいいでしょう。拡幅された歩道は自転車の通行も禁止され、そぞろ歩きを心置きなく楽しめます。
たまたまバスの例を挙げましたが、僕自身はバスの通行まで制限すべきとは考えていません。また、現状でタクシーは乗り場以外での駐停車が禁じられ、高齢者や障害者の利用に支障が生じていますから、少なくとも停車は認めてもいいだろうと思います。
2011年2月24日に行われた四条通の交通量調査(烏丸通交差部~東洞院通交差部)によると、バス1098台(8.2%)、タクシー4313台(32.3%)、貨物車2452台(18.4%)に対し乗用車が5480台(41.1%)を占めており、その進入を制限するだけでも大きな改善が見られるだろうと思われるからです。
さらに言えば渋滞そのものについても、一時的にはやむをえないものと考えています。おそらく道路整備を進めた京都市も同様で、むしろ意図的に渋滞を発生させることで不要不急のクルマ利用を抑制、あるいは他の道路への迂回を促進。結果として渋滞が解消するという荒療治を考えているのでは、と。まあ、これはうがった見方かもしれませんが…。
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自転車の乗車禁止を示す歩道上の路面標示(手前)。気づかない人もいるはずだ
ところでこの四条通は車道も歩道も自転車の通行が禁止され、押して歩くことになっています。このルールがどれだけ守られているかを確認しようと、先日の京都での会議を終えたあとに現地を訪れてみました。短時間の観察だったものの自転車に乗った人は皆無。見かけた人はすべて自転車を押していました。巡回指導員の姿を見かけましたから、口頭での注意が徹底しているのでしょう。
ただし自転車の歩道通行が認められた区間(四条烏丸交差点以西)から禁止された区間への移行部の標示は不親切なもので、これでは市外から当地を訪れた自転車乗りは戸惑います。これはクルマに対しても同様で、迂回する経路の指示といった情報提供は欠かせません。