■未来だけを見据えて駆ける
バヒド・ハリルホジッチ監督に率いられるA代表がワールドカップ・アジア2次予選を戦っている期間中に、U‐23日本代表はポルトガル遠征を行っている。
現地時間25日にはU‐23メキシコ代表との国際親善試合に臨み、2対1で白星をゲットした。前半にあげた2つのゴールには、ともにトップ下で先発した中島が絡んでいる。
開始わずか2分。MF南野拓実(ザルツブルク)がカットしたボールを受けた中島は、反転から果敢にペナルティーエリア内へ侵入。3人の相手に囲まれながら臆することなく左足を振り抜くと、相手の足にかすってコースを変えた一撃は山なりの軌道を描いてGKの頭上を超えて、ゴール右隅へ吸い込まれた。
同33分にはキャプテンのMF遠藤航(浦和レッズ)がカットしたボールを受けて、得意のドリブルで敵陣へ切り込む。相手を十分に引きつけたところで、前方のFW久保裕也(ヤングボーイズ)へスルーパス。久保がヒールで流したボールを、南野が叩き込んだ。

中島翔哉(中央右) 参考画像(c)Getty Images
メンバーが異なるので一概には比べられないが、それでも4年前のロンドン五輪を制した強豪国からもぎ取った白星の価値は大きい。積極的にゴールを狙う姿勢で、チームに勢いを与えた中島は胸を張る。
「後半にもって点を取れたと思うので、そこは攻撃の選手としては反省すべきところ。メキシコは強いですけど、自分たちも自信をもってプレーした。これをより成長させて、オリンピックまでに完成させたい」
帰国しても、トップチームのなかにまだ居場所はないかもしれない。もっとも、それは6大会連続で五輪出場を果たし、4年後の東京大会へバトンをつないだ大仕事の代償でもある。
だからこそ、中島は過去を振り返らない。五輪本番が刻一刻と迫ってきても、なすべきことがわかっているからこそ焦らない。U‐23日本代表が立ち上げられた2年前から「10」番を背負ってきた小さなエースは、未来だけを見つめて全力で走り続ける。