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【THE REAL】代表100キャップ獲得も通過点…FW岡崎慎司を愚直に前進させる野望と盟友の背中

オピニオン コラム
岡崎慎司がサッカー日本代表通算100試合を達成(2016年3月29日)
岡崎慎司がサッカー日本代表通算100試合を達成(2016年3月29日) 全 16 枚 拡大写真

南アフリカ大会直前に、ニアサイドで合わせるスタイルに限界を突きつけられた。終了後にはストロングポイントはそのままにして、ボールをもっても仕掛けられる幅を自らに加えた。

進化を果たした結果として、2列目の右サイドで攻守両面において群を抜く運動量を発揮。それでいてチーム最多の22ゴールを決めたザックジャパン時代を経て、アギーレジャパンとハリルジャパンではワントップの要求にも応えている。

常に目線を高く掲げ、理想とする自分自身との距離を縮めるための努力を怠らない。永遠のサッカー小僧を連想させる無垢な姿勢が、国籍も文化も超えて、歴代の日本代表監督を胸を打ってきた。



岡崎慎司 参考画像(c)Getty images



実際、就任当初は「ゴール前で張り続けろ」と何度も岡崎に注文してきたハリルホジッチ監督の態度が、ここにきて変わり始めているという。

「例えば僕がサイドに流れて起点を作ることで相手のセンターバックを外へ引き出し、(香川)真司たちが入り込んでくるためのスペースを空ける動きにつながっていることもあって、サイドに流れることに関しては監督からあまり言われなくなったかな。今後はもっと強いセンターバックも出てくるし、そこでガツンガツンとやるのは難しいかもしれないし、その意味で対策といったものは練れてきていると思う」

マインツを経て、今シーズンから4年契約で加入したレスター・シティーでは、残り7試合の時点で5ゴールをあげている。19ゴールで得点ランク2位につけるジェイミー・ヴァーディ、16ゴールで4位タイのリヤド・マレズの同僚にははるかに及ばないが、それでも時間の経過とともに岡崎は不可欠な存在となった。

5ゴールのなかでには、最後まであきらめない執念でこぼれ球を押し込んだものも含まれる。労を惜しまない献身的な動きは、大ブレークを果たしたヴァーディを見えない形でアシストしている。

長く2部との行き来を繰り返してきたチームはいま、2位に勝ち点5差をつけてトップを走っている。プレミアリーグ史上に残る大番狂わせへ。数字には表せない貢献を特にメンタル面で果たし、サッカーの母国イギリスの関係者やファンをも魅了しているからこそ、ハリルホジッチ監督も岡崎に敬意を表し、賛辞を惜しまないのだろう。

もっとも、初めてプレミアリーグに挑んでいる点を差し引いても、岡崎本人は現状にまったく満足していない。

「この1年間はとにかくがむしゃらにプレーすることを継続してきて、そのなかでちょっとずつプラスアルファしてきた。ただ、自分がフォワードとしてチームに貢献してきたかと言えば、自信をもって『そうだ』とは言えない。残り試合で2、3点取って、フォワードとして活躍したと思ってもらえるようなシーズンにしたい。自分が相手チームから恐れられなければ、周りの選手も生きてこない。どうすれば相手にとって危険な選手になれるのかを、いまは常に考えている」

2008年の北京五輪でU‐23代表を率いた反町康治監督(現松本山雅FC監督)の言葉は、何よりも数字が求められるフォワードの世界で、岡崎が生き残っていく未来を端的に表していたと言っていい。

「手を抜かないのではなく、手の抜き方というものを知らない選手でしたね」

このままシーズンを終えれば、岡崎のサッカー人生では初めてとなる「優勝」というタイトルを手にすることができる。それでも浮かれないし、ましてやプレッシャーも感じない。

愚直に、それでいて貪欲に。日本代表における100キャップ獲得も通過点。視線の先には、一敗地にまみれたブラジル大会の悔しさを歓喜に変えるロシア大会もすえられている。サッカーを始めた少年時代から抱き続ける野望を具現化させるために、間もなく30歳になる岡崎は真っすぐに走り続ける。
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《藤江直人》

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