【THE REAL】けがの連鎖を乗り越えて…異能のゴールハンター・小林悠が追い求める巧さと強さ
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ホームの等々力陸上競技場でサガン鳥栖を対峙した10日のJ1第6節。予期せぬドラマが生まれたのは、両チームともに無得点のまま迎えた後半49分だった。
フロンターレのGKチョン・ソンリョンのゴールキックを、サガンのDF谷口博之がはね返す。セカンドボールの落下地点に入ったキャプテンのMF中村憲剛が、頭で丁寧にパスをつなぐ。
後半38分から途中出場し、J1デビューを果たしていたU‐23日本代表のMF原川力が、左足のトラップから縦パスを入れる。もっとも、ターゲットとなったMF田坂祐介のやや右側に、コースがそれてしまう。
体勢を崩しながら伸ばした左足を何とかボールに当てて、自らのもとへとコースを変える田坂の姿を視界にとらえながら、小林はゴールへの青写真を瞬時に思い描いていた。
「僕も先にボールに触れるかどうかという状況だったので。つま先でちょこんと当てて、相手と入れ替わるイメージでターンしようと」
背後にDFキム・ミンヒョクの気配を感じながら、伸ばした右足のつま先を当ててボールを前方へ運ぶ。すかざす体を時計回りにターンさせて、ペナルティーエリア左側のスペースへ抜け出す。
選択肢は2つ。ドリブルからシュートにもち込むか。あるいは、クロスを放つか。小林に迷いはなかった。
「(大久保)嘉人さんの姿は見ていませんでしたけど、絶対にファーサイドにいると信じて、思い切り左足を振り抜きました。嘉人さんは練習から『速いボールを入れろ』と要求してくるので、とにかく速いクロスを蹴ろうと思って。自分でも何が起こったのかよくわかりませんでしたけど、顔を上げてボールがネットを揺らした光景を見た瞬間は、本当にめちゃくちゃ興奮しました」
照準を定めたのは味方ではなく、敵のいない空間。DF三丸拡の頭上を超えた低空の高速クロスと、三丸の背後にトップスピードで走り込んできたFW大久保嘉人の頭が完璧にシンクロする。
ラストワンプレーで生まれた歓喜の決勝ゴール。第3子となる次女が生まれたばかりの中村を祝う「ゆりかごダンス」を披露しながら、奇跡をお膳立てした小林が笑顔を弾けさせた。
「嘉人さんはフォワードとして一番好きな選手ですし、上手いし、怖いし…怖いって選手として(相手にとって)ですよ。人としては怖くないですから。あとは速いし、すべてを兼ね備えている素晴らしい選手とツートップを組めるのは本当に嬉しいですし、その分、僕がもっともっと嘉人さんに追いつけるように、成長しなきゃいけないと思わせてもくれる存在です」
(次ページ 代表辞退4度目)
《藤江直人》
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