【THE REAL】ロアッソ熊本・巻誠一郎は走り続ける…大地震を乗り越え、被災地に笑顔を届けるために
オピニオン
コラム

ジェフ戦を間近に控えたチームには、インフルエンザが蔓延しかけていた。レギュラーキーパーの佐藤昭大も罹患して、戦列を離れたひとり。畑が先発を告げられたのはジェフ戦前日。約1年ぶりの出場がスクランブル発進となっていた。
畑は最も被害の大きかった益城町の出身。自宅だけでなく実家も住めない状態となり、被災直後はテントおよび車中泊を余儀なくされた。当時の心境をこう振り返っている。
「サッカーをする、しないという話ではなく、毎日を生きることで精いっぱい。サッカーのことを考えられなかった」
その守護神が、チームがどんな困難に直面しても、乗り越えて前進していくことが被災地へのメッセージとなる。負けたことは確かに悔しい。それでも、勝敗を超越した次元で、ロアッソの選手たちは戦い続けた。
試合終了後のひとコマ。本来ならば自軍のサポーターへ勝利を報告するはずのジェフの選手たちが、ロアッソの選手たちに続いてロアッソサポーターが陣取るゴール裏へ向かって挨拶した。
続いてロアッソの選手たちが、「がんばろう九州・熊本 熊本とともに。絆 180万馬力」と記された横断幕を掲げて場内を一周する。「クマモトコール」が降り注ぐなかで、選手の多くが目頭を押さえていた。
決壊寸前の涙腺を必死にこらえていた巻が、チーム全員の思いを代弁する。
「みんな避難所を回ったり、いろいろな救援物資を届けたり、炊き出しをやったり、子どもたちとサッカーをやったりして、熊本の現状というものを心のなかに刻んでいたと思うんですね。そういうなかで、試合後にあれだけ相手のサポーターから声援をもらって、エールをもらって…いろいろな思いがああいう形になったと思います。復興へ向けて、そして自分たちのクラブの未来へ向けて、(声援や拍手は)勇気に変わったと思っています」
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《藤江直人》
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