【THE REAL】正念場で響くベテラン佐藤勇人の金言…名門ジェフ千葉をもう一度J1の舞台へ導くために
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
■何かを起こしていくこと
J1昇格への扉に、手をかけたシーズンもあった。5位でJ1昇格プレーオフに臨み、決勝に進んだ2012シーズン。大分トリニータ相手にあと4分を守りきれば、という場面で悪夢の先制ゴールを奪われた。
トリニータのリーグ戦順位は6位。規定により引き分けでもジェフのJ1昇格が決まったが、一瞬の隙を突かれてすべてが夢に終わった。実は決勝直前に、常軌を逸した事態が発生していた。
一部スポーツ紙が、ジェフの次期監督候補として関塚氏が浮上したとスクープした。チームは木山隆之監督(現愛媛FC監督)のもとで、トリニータ戦へ向けて集中力を高めている最中だった。
「いくら情報化社会といっても、何とか(記事を押さえようと)努力してくれるのが普通なんですけど。いまのチームに対してリスペクトも何ないことに、むしょうに腹が立つし、許せないんです」
シーズンを終えた後にこうまくし立てたDF山口智(現ガンバ大阪強化スタッフ)は、フロントを含めた運営法人ジェフユナイテッド株式会社のスタンスにも疑問を呈している。
「会社からなめられていると言ったら言葉が悪いかもしれないけど、これだけの選手を揃えたから(J1に昇格するのは)当たり前だろうというのがどうしてもあった。結果を出せなかった以上はもちろん選手が責任を持つし、実際に僕たち選手のせいなんですけど。ジェフが強かった時期、オシムさんの頃をいまもちょっと引きずっているというか、理想と現実を変に……それは絶対にあると思う」
当時34歳だった山口は、ユースから自身を育ててくれたジェフの未来を人一倍思うからこそ、感じたことをすべて社長に訴えた。そのうえで、こんな覚悟も口にしていた。
「何か行動を起こして何かがクラブの中に起これば、それがいいことでも悪いことでも、新しい何かが展開していくと思うので、それだけは続けていこうと。結果として嫌われて、『もういらない』と言われれば仕方のないこと。ぬるま湯につかりながら、選手生活を終えることだけは嫌なので」
山口は2014シーズンまでジェフでプレーし、最終ラインを支え続けた。ジェフはJ1昇格プレーオフにこそコマを進めたが、悲願を果たせないままJ2在籍年数を重ねていく。
9位に低迷して、J1昇格プレーオフにすら進めなかった昨シーズン。オフに行われた、無計画にも映る大量の選手の入れ替え。そして、2010シーズン以降で3度となる、シーズン途中での指揮官交代も断行された。
かつて山口を怒らせたのは、フロントや会社が同じベクトル、同じ責任感を共有して戦うことができていなかったからだ。そして、悪しきチーム体質は、いま現在も変わっていないといわざるを得ない。
高橋GMは長谷部監督代行に勝ち点「27」の上積みを期待している。残りは16試合。初陣を落としたいま、順位こそ9位で変わらないが、6位のサンガとの差は「10」にまで開いた。
白星の数よりも黒星の数が初めて先行してしまったいま、チーム内には自信を失い気味の選手がいても不思議ではない。勇人も「そういう選手はいると思う」と認めたうえで、決意を新たにしている。
「そういうときは、自分からいろいろと話します。監督が代わった責任は、もちろん選手にある。ただ監督が代わったことは、自分たちのチャンスがもう一度訪れたというか。まだまだ試合も残っているし、昇格へ向けてもう一度やり直していける。その意味では、自信を失っている時間がもったいないので。自信を失っている暇があれば、ミーティングや選手同士でいろいろ話して練習に取り組む。そういう細かいところを積み重ねて、試合に挑む準備をしていくほうがいいと思うので」
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《藤江直人》
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