【山口和幸の茶輪記】世界各国の軍隊や消防隊で愛用…特殊アイウエアがスポーツ界でも人気 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【山口和幸の茶輪記】世界各国の軍隊や消防隊で愛用…特殊アイウエアがスポーツ界でも人気

オピニオン コラム
USA Flight_Deck-1
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日本を含む世界120カ国以上の軍隊、警察、消防、特殊部隊やレスキュー隊で使用されているアイウエアがある。そのスペックの高さから、自転車やマリンスポーツなど強い日差しのもとで長時間過ごすアウトドアアクティビティでも、日本では浸透しつつあるようだ。

米国のESS(Eye Safety Systems)社は米軍などが愛用するサングラスメーカーだ。主力商品はクロスボウ。「あれ?オークリーにそんな名前のモデルがあったような気がしたなあ」と調べてみたら、やはり関係があった。

ESSは2007年1月、アイウエアのトップブランドであるオークリーと合併し、オークリーのミリタリー部門として技術提供を受けているという。手元にあるクロスボウをチェックすると、ノーズピースなどはオークリーと同じもので、鼻の低いボクたち日本人が着用してもレンズがほほに当たらないようにした「アジアンフィット」が用意されていることも同じである。

ESSのクロスボウ・セラコート

1998年に設立されたESS。2003年のイラク戦争では、IED(即席爆弾)や地雷による爆発、破片飛散、閃光による被害などで目に障害を負って帰還した兵士が多かったようで、同社はそれをきっかけに兵士の眼を守る製品の開発を本格化。

警察で使われる防護盾や、航空機、防弾窓などのポリカーボネート素材をさらに強化したバリスティックレンズ(弾道安全基準をクリアした素材)技術によりアイウエア製造に特化。

USA ARMY-1

現在では120カ国以上で製品の品質と価値が認められて採用され、米国防総省からは戦闘用アイプロテクション(バリスティックアイウエア)として認定されている。

日本での輸入代理店は、2016年11月の「サイクルモードインターナショナル」にも出展していたノーベルアームズ社だ。サバイバルゲームのトイガン用スコープのメーカーとして富永真也社長が2006年に設立。同年、自衛隊の装備品として納入する目的でESSを輸入開始した。

しかし、国産品を重視する風潮のある自衛隊へのアプローチが苦戦。打開策として、本来は軍隊などプロ仕様であるアイウエアを一般販売してみると、サバイバルゲーム、オートバイ、自転車、登山、スポーツ一般などに売り上げを伸ばしていくことになった。

最近では、少年野球で紫外線予防として使われ始めている。国内におけるESS製品の売り上げの2~3割は自衛隊で、残りがスポーツ需要だという。

ビーチバレーの坂口佳穗

一般向けをアピールするため、スポーツ選手のサポートにも力を入れている。ビーチバレーの坂口佳穗と鈴木悠佳子(共にマイナビ/KBSC所属)や、オフロードレーシングドライバーの塙郁夫、埼玉県さいたま市の地域密着型サイクルロードレースチーム「サイタマサイクルプロジェクト」などにスポンサード、商品サポートをしている。

さいたま市の地域密着型サイクルロードレースチーム「サイタマサイクルプロジェクト」

人気モデルのクロスボウは、米軍基準採用の塗料コーティング「セラコート」を施すことで耐摩耗性、耐溶剤・薬品性に優れているうえ、フレームを曲げても塗装が割れず、はがれないなどのメリットがあるという。

ワイドで疲れにくいレンズは、厳格な米軍規格「ミルスペック」をクリアした高い衝撃耐性を持つ。ミルスペックの規格に基づき行われるテストにより、10mの距離から撃つショットガンでも割れないバリスティックレンズには“目を守る”絶対的な安心感がある。

究極に曇りづらいレンズ内側のコーティングも魅力だ。レンズの内側に曇り防止加工が施されているので、どんな条件でも曇りづらく、最高レベルのクリアな視界を提供する。

USA 消防3

実は、海外有名ブランドのアイウエアの場合、高温多湿な日本で使用する際にちょっと困った問題となるのがレンズ内側の曇りだ。欧米人と比べると彫りの浅い日本人が着用すると、どうしても設計された眼球や皮膚との距離が確保できず、効果的な通気性能が発揮されない。

もちろん、巡航速度の速いレーサーならある程度の通気性は発揮されるのだが、ボクのようなサイクリストは夏場になると上り坂では止まるようなスピードながら大汗をかいて、レンズ内側が曇ってしまう。速度が遅めながら、運動量は高いスポーツでよく発生する現象だ。キャップをまぶかにかぶってトレイルランをしているときや、マウンテンバイクなどに乗っているときもよく曇る。

この季節にそこまでのテストはできないのだが、日本人が日本で着用するアイウエアに高い妨曇性能は不可欠かと思われる。

《山口和幸》

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