また、サッカーの試合時における様々な駆け引きを指す言葉でもある。接触が多いスポーツでは、審判の見えない部分で相手への妨害行為を働いたり、露骨な時間稼ぎなどが多々見られる。日本人はこれらの行為を「フェアじゃない」と批判する。しかし、これらの行為は選手たちの「絶対に勝ちたい」という強い気持ちの表れでもある。
「フェアプレイとは何なのか」
中学2年のサッカープレイヤーが綴った文章が、現役時代、日本のスポーツ界を牽引してきた元選手たちの琴線に触れた。
日本体育協会は、「フェアプレイで日本を元気に」をキャンペーンの一環として、日常生活において体験した、スポーツに関わるフェアプレイ・エピソードを一般から募集し、優れた作品を大賞作品として表彰する「日本フェアプレイ大賞2017」を実施した。 大賞に選ばれた作品は漫画化し、協会が発行する「体協フェアプレイニュース」に掲載され、全国の小中学校に配布される。
大賞に選ばれたのは、中学2年生の佐藤琉来(さとう りく)くん。元マラソン選手・有森裕子氏、元バレーボール選手・大山加奈氏、元サッカー選手・福田正博氏らが選考委員となり、1701通の応募の中から佐藤くんの作品が選出された。表彰状を受け取った佐藤くんは、「最初はびっくりしましたが、後から嬉しくなりました」と、報道陣に囲まれ少し緊張した面持ちで答えた。
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佐藤琉来くん
現役時代、浦和レッズの象徴的な存在となり、日本代表経験もある福田氏は、作品について「読んだ瞬間に少し考えさせられるような素晴らしい作品でした。改めてフェアプレイの大切さを教えられました」と評価した。
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元サッカー選手・福田正博氏
佐藤くんは現在、中学のサッカー部でボランチとしてプレーしているということを受け、福田氏は「ボランチは全体を見なければならない視野の広いポジションなので、こういう作文が書けるのだと思います。フォワードの僕には書けません」と、会場の笑いを誘った。
『マリーシア』について、「されると、その試合に勝てても気持ちよく終われないです」と佐藤くんは語る。福田氏は「訳すと“ずる賢い”と言いますが、“ずる”をとって賢く戦うことだけを考えた方がいいと思います。ルールの中でどうやって勝つかを考えていくことが、『マリーシア』だと僕は思います」と語った。
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表彰のようす
今、佐藤くんが考えるフェアプレイとは、「ルールをしっかり守って気持ちよく楽しくプレーできること」だという。まだまだ明確な答えが見つからないフェアプレイという言葉の意味に、これからも多くの人たちが悩みながらも答えを追求していくだろう。
なお、佐藤くんの作品は5月8日に全国の小中学校に配布される、「体協フェアプレイニュース」に漫画として掲載される。また、この漫画は5月上旬、フェアプレイキャンペーンサイトと、Facebook「フェアプレイで日本を元気にキャンペーン事務局」(@JASA.fairplay)に掲載予定となっている。
「スポーツにおけるフェアプレイとは」受賞者:佐藤琉来
フェアプレイとは何だろう。身のまわりでどのようなことがあるか考えてみた。
僕はサッカー部だ。サッカーの試合ではたくさんのフェアプレイを見られるが、そうでないプレイもたくさん見られる。例えば、倒れてきたとき、相手チームが手をさしのべてくれた。このようなプレイを体験した。しかし、相手をおしたり、けったりするなどフェアプレイでないプレイがないことの方がめずらしく思う。審判がファウルをとらなければこのようなプレイをしていいのだろうか。サッカーには絶対に必要なのだろうか。けっしてそうとは思わない。相手をおす、ける行為は相手にとってはいやなことであり、スポーツを楽しめない。でも、サッカーというのは、体をぶつけあいながら戦う激しいスポーツだ。相手がいやな思いにならないようにと考えすぎて、相手に対して本気で戦えなくなってしまうと、それはそれで、手を抜いたことになり、それもまた、相手に失礼な行為になる。
このことから、フェアプレイとはとても難しいことだと思った。サッカーでは、アンフェアなプレイがあって、フェアプレイがある。それを、フェアプレイがあってこそのスポーツにできるようにしていきたい。本当のこたえは出ていませんが、フェアプレイという言葉の意味を日々考えていきたいです。