ヤマハのエアロセプシーが人力飛行機世界記録120kmの更新に挑戦
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同チームはヤマハ発動機の社員が1983年に結成した人力飛行機のサークル。琵琶湖で行われる鳥人間コンテストに参戦し、フライト時の気象条件に左右される難しいイベントながら5回の優勝歴を誇る。1998年に対岸までの23.7kmの飛行を実現してしまうと、公式の世界記録を視野に入れた活動に修正した。
チームが記録更新をねらうのは、人力飛行機・一般カテゴリーの直線距離と滞空時間。現在の世界記録は1988年に米国マサチューセッツ工科大チームがギリシャで樹立した距離115.11km、3時間54分。これを塗り替えればギネスブック入りすることが期待される。
現在の日本記録は2005年に日本大チームが、エアロセプシーの持っていた10.881kmを超える距離49.172kmを達成。パイロット役は在学中の増田成幸(現在は宇都宮ブリッツェン所属のプロロードレーサー)。増田は2010年、世界記録超えの120kmフライトに挑戦したが、50km付近で主翼が破断。8m下の海面にたたきつけられて腰椎圧迫骨折の重傷を負った。
挑戦飛行用に製作された機体の名称は「極楽とんぼ」。全長9.5m、全高3.5m。主翼全長36mで、空力性能の最適化を図りながら、軽量構造により機体重量を37kgに抑えたもの。主な材料はカーボンファイバーと発泡ポリスチレン。バルサ材とワイヤなどで軽さと強度の両立を図っている。変速機なしのシングルギヤ。自転車用チェーンよりも細く軽いものを使用し、テイクオフ時の後輪駆動とプロペラ旋回を担っている。
2010年、世界記録をねらって万全の態勢を整えたエアロセプシーだったが、週末ごとの本番フライトはことごとく天候に見放された。さらにパイロット役の山本和弘がロンドン五輪MTB競技出場を目指したため、活動停止。2013年に復帰して記録更新の態勢を固めたが、天候が味方せずテイクオフしなかった。
《山口和幸》
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