「最低限やらなきゃいけないことは、このなでしこのブームをいまがピークにしたくないと個人的には思っています。来年にはリオ(オリンピック)もあるし、その先もありますけど、やはり2020年には東京オリンピックという舞台があるので。そこへ向けてと言ったら先すぎると思われるかもしれないけど、それでもそういう先を見すえてしっかりとやっていきたい」
5年という歳月をかけて、澤穂希という呪縛に別れを告げた2015年の夏。岩渕は27歳で迎える、出身地の東京で開催されるスポーツ界最大の祭典に精悍な表情でターゲットを定めた。
■もっともっとやらなきゃいけないことがある
「普段はドイツでプレーしていて、速さも強さも日本人とは違うなと思ってきました。パスのスピードひとつを取ってもそうですし、シュート力もそう。アメリカはセットプレーがホントに強かったけど、日本人のよさも絶対にある。小さなパスなどをとったら多分なでしこが一番上手いと思いますけど、それでも勝てないのがサッカー。それ以外のところで、もっともっとやらなきゃいけないことがある」
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澤穂希(左)と岩渕真奈
カナダの地から帰国した日は、年に一度の七夕だった。もしも目の前に短冊を用意されたら、岩渕は何を書き込んでいたのか。それは個人的に掲げたレベルアップへのテーマからはっきりと伝わってくる。
「もっとドリブル突破ができる選手になりたいのと、あとはひとりでもフィニッシュにもち込める選手になりたいなと思います」
連覇の夢を断たれたショックを必死にモチベーションへ変えようとしている小さなエースへ、男女を通じて史上初の6大会連続ワールドカップ出場を果たした澤も笑顔でなでしこの未来を託した。
「これから日本代表を背負っていってほしい」
ブンデスリーガ覇者バイエルン・ミュンヘンでの2シーズン目、ブンデスリーガでは通算して4シーズン目となる挑戦へ。帰国から一夜明けた8日から充電を兼ねた休養に入った岩渕は、7月下旬にドイツへと飛び立つ予定だ。