■普通の高校生たちが試合を経て成長…津商×鳥羽
鳥羽は、第1回大会の優勝校京都二中が学制改革で一旦は廃校となったものの、その流れを汲んで後継校として84年に開校した。公立校だが比較的スポーツも盛んな学校だ。
とはいえ、京都では伝統の龍谷大平安を筆頭に、福知山成美に京都外大西や立命館宇治、京都翔英などが一騎打ちの対決構図が続いている。そうした中で、100年の今年、よくぞ甲子園に出場したものだという存在である。
対する津商も創立95年の伝統を有する地元の伝統校だが、甲子園はこの夏が初出場である。鳥羽とは、年間で何度も練習試合をする間柄だという。
そんな両校の甲子園での対決は、どことなく昭和の香りのするものだった。普通の高校生たちがちょっと上手い選手に恵まれて、戦っていきながら自信を得て上手くなっていくというものだ。
津商は投手の坂倉誠人君、鳥羽では松尾大輝君と梅谷成悟君のバッテリーが、そんなちょっと上手い選手なのだ。鳥羽主将の梅谷君は主催者側の指名で、選手宣誓も担うことになったのだが、そんな話題作りにも、舞い上がらなかったのは立派だ。
試合はスクイズを失敗しながらも、挟まれた走者が生きて、その直後に岩切海斗君が三遊間を破るタイムリー打を放った鳥羽が、ここから5連打で3点を奪い、そのリードを守り切る形で逃げ切った。
津商も一つひとつを丁寧にプレーしていた。ドカン、ガツーン!という迫力があるものではなかったけれども、きっちりとした試合だった。試合時間も1時間40分余、ちょっと上手な普通の高校生たちのテンポのいい爽やかな好試合だった。
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