■下馬評覆す接戦に…花咲徳栄×東海大相模
サヨナラ試合の劇的な瞬間は、準々決勝でも見られた。それが、東海大相模と花咲徳栄の関東勢同士の対決だった。
今年の勢力構図からすれば、東海大相模が力で圧していると思われたが、3回に花咲徳栄が太田幸成君の二塁打と岡崎大輔君、大滝愛斗君という中軸の連打で2点を奪って逆転。4回にも、7番笹谷拓海君が左翼線二塁打して内野ゴロで進むと、上村康太君の左前打で3点目を奪った。
このリードを花咲徳栄は鎌倉知也君、左腕高橋昂也君の両投手が何とか守ろうとして逃げる。8回には一死二三塁と追加点のチャンスを得たが、ここは東海大相模の小笠原君が力で抑え込む。そして、その裏に花咲徳栄は痛恨のボークがあって、一死三塁となって、長倉蓮君の高々と打ち上げた犠牲飛球で、ついに同点となった。
こうなると、やはり力がある東海大相模、9回は二死二塁という場面で3番杉崎成貴君が放った左翼線打で決着がついた。
大応援団の声援にも送られて、大健闘の花咲徳栄だったが、最後の最後に力尽きたという感じだった。しかし、甲子園という舞台でこれだけの試合を演じた花咲徳栄、その存在は十分に全国に知らせることができたといっていいだろう。
なお、余談ではあるが、今年早々に公開された映画『アゲイン~28年目の甲子園』の学校のロケは花咲徳栄のグラウンドだった。四季によって校歌の歌詞が異なるという花咲徳栄だが、今年は「冬の花咲徳栄高校」も「夏の花咲徳栄高校」も、忘れられないものとなったことであろう。
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