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【THE INSIDE】2016年センバツ、21世紀枠候補の9校が決定…代表校を改めて考える

オピニオン コラム
マウンドに集まる彦根東の選手たち
マウンドに集まる彦根東の選手たち 全 4 枚 拡大写真
毎年春に行われる選抜高等学校野球大会(通称センバツ)。文字通り21世紀となった2001年第73回大会から、センバツ独自の選考法でもあり、特色でもある21世紀枠代表校が設けられるようになった。来年で16年目になる。

■独自の選考法で決まる21世紀枠代表校

21世紀枠代表校の条件として、秋季都道府県大会おいて参加校数が129校以上の都道府県はベスト32、それ以外の県ではベスト16以上の成績の学校であることが第一条件。さらに次のような選考基準が設けられている。

(1) 少数部員や自然災害などで困難な環境を克服している 
(2) 学業と部活動の両立 
(3) 近年の試合成績が良好ながら、強豪校に惜敗するなどして甲子園出場機会に恵まれていない 
(4) 創意工夫した練習で成果を挙げている 
(5) 部外を含めた活動が他の生徒や地域に良い影響を与えている

現在は3校選出されるが、地域性も考慮して東日本、西日本で各1校、さらに地域関係なく全国からもう1校という形で選出される(2007年までは2校選出、2013年第85回大会は記念大会として4校選出)。


甲子園球場

これまでの21世紀枠代表校は39校あるが、私立校は2013年の土佐のみである。土佐はかつて甲子園では準優勝を2度果たし、"全力疾走"で有名になった。そうした伝統の下地と高知県を代表する進学校でもあり、条件(2)に当てはまる。

また、グラウンドでの全力疾走は(4)の基本であるともとらえられるし、地域での人気校であり(5)の条件も当てはまっている。ただ、土佐に続く私立校の選出は今のところない。

2016年第88回大会の候補校9校もすべて公立校だ(札幌清田、釜石、上尾、宇治山田、長野、長田、出雲、小豆島、八重山が9地区から推薦された)。

■文武両道の進学校が有利

過去の例を見ても、条件(2)に当てはまる旧制中学の流れをくむ地域一番校が非常に多い。2001年の安積、2002年の松江北、2003年の柏崎、2004年は一関一と八幡浜、2005年の高松、2006年の金沢桜丘、2007年の都城泉ヶ丘、2008年の安房と成章、2009年の彦根東と大分上野丘、2010年の向陽、2011年の大館鳳鳴と城南、2012年の洲本、そして2013年の土佐、2014年の小山台、今年は創立1828(文政11)年の松山藩校明教館を前身として創部も1892(明治25)年の松山東と、旧和歌山中学の歴史を背負い、やはり明治年間に創部している桐蔭となっている。

もっとも2008年だけは、成章も安房も旧制中の流れはあるが、むしろ条件(3)に当てはまった印象もある。

いずれにしても"文武両道"という姿勢を示している地域一番の進学校は、選考されやすいことに違いはない。2016年の候補校の中で(2)の条件に当てはまっているところは宇治山田、長野、長田、出雲になるだろう。


秋季県大会で決勝進出を決めて、感涙に咽ぶ安房の早川貴英監督(当時)

釜石は釜石南と釜石北が統合した新校だが、旧制釜石中の流れをくんでいる。しかし、釜石の場合は(1)の条件の色合いが強いといえようか。

次に多いのは離島や過疎化の中での取り組みが評価されたもので、2001年の宜野座、2002年の鵡川、2003年の隠岐、2011年の佐渡、2012年の女満別と石巻工、淡路島にある洲本もこちらの条件の要素があったといえよう。

2013年には21世紀枠代表同士の試合もあり、いわき海星と遠軽が1回戦で対戦した。1時間半にも満たない短い試合だったが、遠軽が3-0で勝利している。2014年は奄美大島から大島が出場した。

■21世紀枠代表校の勝率は高くない

21世紀枠代表は、「頑張っているチームの背中をあと一押ししてあげる」という意味合いもあると聞いたことがある。実際に、その後いわゆる"自力"で夏の甲子園やセンバツに出場を果たしたのは宜野座と鵡川、東北勢の利府と山形中央だ。宜野座と利府は21世紀枠代表で出場した大会でベスト4に進出しており、甲子園での頑張りがその後の選手たちのバネになったのは確かであろう。

とはいえ、やはり21世紀枠代表校が甲子園の檜舞台で勝利する確率は低い。昨年、松山東が二松学舎を下して、21世紀枠同士の対戦も含めて16勝目(39敗)を挙げている。勝率としては2割9分ということになる。これを健闘しているとみるか、厳しい数字と見るかは、意見の分かれるところか。

ただひとつ言えることは、21世紀枠で選出されるところでも、やはり投手力がしっかりとしている。第一条件と言ってもいいだろう。2008年は21世紀枠代表の3校すべてが初戦突破を果たしたが、いずれも好投手がいた。開幕戦で駒大岩見沢に3-2で勝った成章をはじめ、同じく開幕日に安房が城北に2-0、さらに華陵が慶應義塾に1-0といずれも僅差で勝利している。

成章には、現ヤクルトのローテーション投手となっている小川泰弘がいた。よく「試合を作る」という言葉を使うが、まさに試合を作れる投手がいることが条件ということになる。これは、今春の松山東もそうだった。亀岡優樹は抜群の制球力があり、球速も130キロ台中盤を記録していた。米田圭佑捕手も素晴らしく、バッテリーの能力が高かったといえよう。


成章時代の小川泰弘

一方で、実業系の学校では、2005年に一迫商があり、翌年は真岡工が選ばれている。あとは2012年に東日本大震災の復興の願いも込めた石巻工が選ばれている。そして2015年春は地域貢献ということも含めて、豊橋工が選ばれているが、商業1校、工業3校と少ない。2016年の候補校9校でも実業系は推薦されていない。

そうした要素を絡めて見ていくと、来春の21世紀枠代表校がどこになるのか見えてくるような気もするのだが…。2016年1月29日の代表決定が待ち遠しい。

ちなみに、候補校9校のうち地区大会に進出しているのは、単独地区扱いとなる北海道の札幌清田を除くと釜石、出雲、小豆島、八重山の4校となる。果たしてどうなるのだろうか。

《手束仁》

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