卒業後も日本代表と社会人、二足のわらじで漕ぎ続けた。現在はフリーとなり、ボートに己のすべてを注いでいる。4月にアジア大陸最終予選を控えて、現在は強化合宿に参加中だ。
中野選手にボートとの出会い、競技の魅力、会社を辞してまで打ち込む原動力などを聞いた。

中野紘志選手
---:ボートを始めたきっかけは何ですか?
中野紘志選手(以下、敬称略):もともとスポーツで結果を出したいというのがあって、大学に入った時に、"大学から(始めて)間に合うスポーツはなにか?"というのを探しました。アメフトとボート、ラクロスがありました。
水泳とかサッカー、テニス、陸上など、色んな競技をやってきて、自分が持久力系の人間だということはわかっていた。アメフトは途中途中で休むと聞いたので、ちょっと違うかなと。
視力があまり良くないので、ラクロスは球が速すぎて見えないなと思った。それでボートに。
---:高校生の時は何をやっていたのでしょう?
中野:テニスを2年間やって、3年の時だけ陸上の長距離をやりました。5000mや10kmです。
---:他の競技はまったく考えなかったのですか?
中野:その3団体(アメフト、ラクロス、ボート)しかなかったんです、日本一を狙える団体が。それでボートを漕いでみたら、まあいいかなあと。最初から三択でした。
---:最初ボートをやってみてどうでした?
中野:始めてやる競技だったので新鮮で。水の上というのが楽しかったです。

---:大学卒業後は会社員をしながら競技活動。現在はどうしているのでしょう?
中野:今は会社を辞めています。日本代表の選考期間は無所属でもいいとのことなので、今も無所属です。
---:無所属の場合、練習はどのようにしているのですか?
中野:今は日本代表選手なので、代表が使えるボートが置ける場所があります。もともと会社員の時に一人乗り用のボートを買っていたので、それを置かせてもらっています。
ボートコース自体も自由に使えるので、漕ぐぶんには何も問題はないですね。
---:ボートコースは埼玉県の競艇場「ボートレース戸田」ですか?
中野:そうです。ボートレース場に隣接しています。
---:ボートの練習はどういうことをしていますか?
中野:1回に1時間半~2時間ぐらい、ずっと漕ぎ続けます。ウエイト(トレーニング)をする人もいますが、自分はあまりしないです。練習時間は自由です。会社に在籍していた時も日本代表だったら、代表合宿中はずっとやらせてくれて。勤務が制約になったかというと、そこまでではなかった。
勝っても負けても一緒…一緒ではないんですけど、いい企業だったおかげでセーフティネットが高すぎた(笑)。ボートは、漕ぐ理由が必要な競技。マイナースポーツを支えてくれるのは現状、大企業だしかないと思うのですが、大企業は(選手に)優しかった。勤務の時はフル勤務ですけど、残業とかはしなくていい。
【次ページ 一番キツいこと、ボートの魅力】