現在はフリーとして活動する中野選手に、ボートにすべてを注ぐ意思、今後のプランなどを聞いた。
その1:最初は「つまんねえ競技だな」と思った
中野紘志選手
---:会社を辞めてまでボートに打ち込む原動力は何ですか?
中野紘志選手(以下、敬称略):大学でボートを始めるまでは自分に自信がなくて。ボートである程度結果が出て、自信を持つってほどではないのですが、まともに生きていこうとさせてくれたのがボートでした。
社会人になって、自分のためだけにボートを漕ぐことに意味があるのかなとずっと思っていて。社会のためというか、ボート界のためになるにはどうしたらいいか。子どもが(ボートを漕ぐ)自分がきっかけで自信を持つとかになったら、それはそれで社会人になっても漕いだ意味があると思う。それならどうしたらいいか。世界で勝つしかない。でも、世界で勝つのに何してるの?って感じ。
「会社を辞めない理由は何?」ってなった時に、会社を辞めてボートを通じて稼いでいく自分自身の能力に自信がないだけじゃないですか。それは自分のせい。それを試したことがあるのかと言うと、ないし、じゃあ試してみたらいいじゃんって。それでダメだったらそこまでの選手。
社会人になってまでスポーツをやるのは、否定的ではないけど、社会人としてやらないといけないと思うんですよね。学生と同じ立場でやるべきではないと思っていて。
じゃあ誰かのためにやるかというと、勝つため。勝つために最善を尽くさなきゃいけない。「じゃあ何?」ってなった時に辞めて、フリーになって飛び込んで、白か黒がつけて、ボートを終了させたほうが、会社員として負けていくより、ノルかソルかやったほうがいい。
ボートで来た人生だから、ボートで終わってもいいっていう。
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練習でマメのできている中野選手の手のひら
---:自分をオリンピックで試すような気持ちもあった?
中野:そうですね。どう終わらせるか…。自分としてはボートで得られるものはもう「ごちそうさまでした」。これ以上もらえたらそれはそれで嬉しいんですけど、どちらかというとボート界のために何をできるかって方向でやっていきたい。会社にいる理由は自分のためだから、(辞めても)いいかなあって感じです。
---:アルバイトなどもしていないのですか?
中野:ぜんぜんしていないです。貯金を切り崩す生活で、何も見ないようにしています。ほとんどクレジットカード払いで、送られてくる請求書も開けないで(笑)。
---:今はフリーとして活動。それについて、今後のプランは?
中野:まったくありません(笑)。マイナースポーツは期待、批判すらないのが問題だと思っていて、趣味と同じレベルで扱われている部分もある。できるだけ人の目を集めたほうが選手にとっても、競技にとってもいいと思っています。
B級グルメを目指したいんです。和食、ラーメンは野球やサッカーに任せておいて、たまに食べるネパール料理や南アフリカ料理にマイナースポーツはなれればいい。選択肢が多いことはいいこと、社会にとって豊かなことだと思っているので。競技人口を増やすよりは、選択肢のひとつとしてマイナースポーツはあってほしいんです。
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