高橋尚子、フルマラソンの走り方「悪魔の誘惑には乗らないでください」
イベント
スポーツ

「上り下りを同じような走りをしないように」と高橋さん。同じように走ると筋肉の同じ場所をずっと使うことになり、そこだけが疲れてしまう。
「そうすると後半にパタッと動かなくなりますから、上りの走りと下りの走り、オンとオフをしっかり使い分けていくことで体にエネルギーを蓄えていきます。解説とかではよく『前半は温存するんですよ』と言います。後半に爆発した力がだせるように温存。温存って何だと思っているかもしれませんが、走り方で温存することができる」
スタートして7kmを過ぎるころになると、リズムがつかみやすくなってくる。そこで調子に乗ってはいけないそうだ。
「7kmぐらいになると体が暖まってくるので、『今日イケるなあ…何か調子がイイぞ?』とみんな思うんです。これを私は『悪魔の誘惑』と言ってます。悪魔の誘惑には乗らないでください。その悪魔の誘惑に乗って次に感じるのは、20km。足が動かない…。動かなくなったら(残りの)20km大変ですからね」
いけそうだなと思っても7~10kmぐらいは抑えて走るようにすすめる高橋さん。また、苦しい上り坂については"意識が大切"と言及する。
「上りになると目線が上がる。そうすると顔が上がって、アゴも上がる。上半身は少し後傾になる。後傾になってしまった一歩、苦しい時、坂ほど、アゴをしめて目線を下げて、頭を前にだす」
意識することで足の歩幅が変わってくるという。
「アゴを上げて目線を上にしてだす一歩と、アゴをしめて目線を落として頭を前にだす一歩。この一歩は、飛ばなくても、跳ねなくても、蹴らなくても、体を支えるために足が必ずでる。この一歩があれば42kmをすごくラクに走れる」
「上りの時は下を向いて、アゴを引いて、目線を下げて、腕をしっかり振って走ってください。そうすればそこで5人抜けます!そして下を向いていれば、見えているのは地面だけです。坂は気のせい、坂は気のせい…。思い込みが大切ですからね、坂は気のせいだと思って走ってください(笑)」
坂を上り切った後は、上りの勢いと下りにつなげることが大切だ。
「上り切った時みんなホッとする。ホッとしないでください。上り切っても、下って最初の100mはまだ上っているつもりで頑張ってください。その勢いでまた5人抜けます」
高橋さんを指導した小出義雄監督は、「高橋、上り全力でいけ!そのまま100m全力でいけ!下っても全力でいけ!」と常に全力を要求したそうだ。
「いつ全力じゃなくなるんだと期待しているんですけど、小出監督は全力じゃなくなることがありません(笑)。でも私は小出監督よりも優しいですから、皆さんに上り切った後の100mだけ頑張るようにお伝えします」
そんな優しい高橋さんは、上りでは「小猿」をイメージしてほしいと話す。
「私は小猿、私は小猿。小猿をイメージしてください。山の中を木々を飛び跳ねていくような小猿です」
辛い上り坂も小猿になった気分で走れば、足取りはいつもより軽くなりそうだ。
《五味渕秀行》
≫貴重な水着ショットも披露!「もはや高校生には見えない」大人っぽい池江璃花子、沖縄・石垣島の海を満喫
≫ケンブリッジ飛鳥と滝沢カレンが似てる?リオ五輪時から密かに話題だった
≫レアル所属・中井卓大ってどんな選手?…「リアルキャプテン翼」と呼ばれた少年時代