―― 女子プロ野球は今年で6年目ですけれども、宮原さんの場合は、ほとんどその最初から参加しているということですね。
宮原 専門学校に行っていたのですから、どうせならトレーナーの資格だけでも取って、中身も勉強をしておけということは言われていました。それで卒業してからは、迷わずに女子プロ野球に進みました。
―― 寺部さんの場合だと、卒業の時は状況がかなり出来上がってきていたというところだったと思うのですが、どうでしょうか。
寺部 そうですね、大学で燃え尽きたかなぁというところもあったのですけれども、やはり、やり続けなくてはいけないなという気持ちがもっとありました。
―― 実際、女子プロ野球選手としてやってきてみてどうでしょうか。
里 大学を卒業して、高校でコーチをしていたという時代があったのですけれども、選手だけに専念してやれるという環境は、プレーヤーとしては恵まれているな、とは思っています。
―― 女子プロ野球の世界は、まだ始まったばかりで、まだまだ手探り状態ということもあるでしょうけれども…。
里 多くの人は、野球をするために仕事をして、それで時間を作って野球をするということがほとんどですから、仕事として、野球をやれる、野球をやって生活ができるという環境ができただけでもすごいと思っています。そして、自分たちがやりながら、もっと後に続く人たちに向けて、いい環境を作っていかなくてはいけないと思っています。
宮原 見られているという意識ももちろんですけれども、野球教室なんかで親子で来られていて、お父さんが一生懸命だったりするのを見ると、自分が調子よかったり悪かったりすることもありますけれども、そういう波は見せてはいけないなと思います。
―― 野球をやっていく上では、いつもきちんと見せていかないといけないということですね。
宮原 やる以上の責任というのはありますから。
寺部 高校も大学も野球中心でやってきてはいるのですけれども、やはり、仕事として野球をやるという意識は、学生とは違うと思います。
―― 自分がやってきて、プロとして違ってきているなと感じていることはどんなことでしょうか。
寺部 アマチュア時代というのは、戦う相手というのも様々だったので、データということはあまり重視していなかったのですけれども、今は、相手のデータとか、どういう戦い方をしてくるのかということは、より意識するようになりましたね。
里 そうですね、一つの参考として前もって「この打者は、ここを注意しないといけないな」というようなことは、より意識しますよね。
―― 苦手とか、そういうものも出てきてしまうものですか。
里 苦手というよりも、この打者は振ってくるので気をつけなくてはいけないなということは考えますね。
宮原 データに頼りすぎてもいけないとは思うのですけれども、自分がやられているところとかは意識していけるようになりました。
―― 最後に、女子野球界の今後というか、将来への思いを伝えていただければと思いますが。
寺部 まだ、先まではあまり考えてはいないんですけれども、当たり前のように、女子でも野球ができるという環境を維持してもっと発展させていきたいと思います。そのためには、今の私たちが、しっかりとした野球を見せていくということですね。
―― 将来への希望とか、望むところというのは何があるのでしょうか。
宮原 関西と、関東は女子野球がある程度普及して発展してきていると思うのですが、九州ではまだなので、もっと高校も大学にも広げていきたいと思います。
―― 女子野球のすそ野をもっともっと広げていかないといけないということですね。
宮原 そうですね。それが、普及へつながっていくと思います。
里 私は、一番の大きな目標としては、女子野球の試合を故郷の奄美大島でやるということですね。DeNAがキャンプで使うようなグラウンドもありますから、そこで、お世話になった人の前でも投げてみたいと思います。
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里綾実
―― そこで里綾実が投げて、スタンドをいっぱいにするというのが夢ですね。
里 そうですね。島というのは、やはり都会に比べると、あまり情報がないですから、野球を続けたいと思っている女の子たちもいっぱいいると思いますので、是非、地元で投げて、こんなにやれるんだよということを見せてあげたいと思っています。
―― それまでは、辞められませんね。
里 はい、頑張ります。
―― ありがとうございました。