【THE REAL】川崎フロンターレで輝きを放つ小さな将軍…大島僚太が手倉森ジャパンにもたらす新たな武器
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
迎えた今シーズン。23歳になった大島のプレーが明らかに変わった。一挙手一投足にメッセージが込めて、フロンターレをけん引している。実は開幕前にターニングポイントを、それも2つ迎えていた。
◆背番号
まず背番号が「16」から「10」へと変わった。創立20周年を迎えたフロンターレにおいて、初めてエースナンバーを託された日本人選手となった。寄せられる期待の大きさを感じずにはいれられなかった。
背番号の変更が発表されたとき、大島はリオデジャネイロ五輪出場を目指してU-23アジア選手権に臨んでいた。しかし、決勝までの6試合を戦ったカタールの地で、存在感を放つことができなかった。
過密日程を考慮した手倉森誠監督がターンオーバー制をしいたこともあるが、北朝鮮とのグループリーグ初戦は後半途中でベンチに下がり、続くタイ戦ではリザーブのまま試合を終えた。
サウジアラビア戦では先発してゴールも決めたものの、イランとの準々決勝は延長戦で勝負が決してからの途中出場。勝てば6大会連続の五輪切符を獲得できるイラクとの準決勝では、最後まで出場機会が訪れなかった。
韓国との決勝戦では、FW浅野拓磨(サンフレッチェ広島)との交代で大島がベンチへ下がった直後に日本が反撃を開始。一挙に3ゴールを奪う逆転劇で、23歳以下のアジア王者の座をもぎ取っている。
細かいパスをつなぎ、ポゼッションを高めて相手ゴールを陥れるフロンターレと異なり、カタールの地で戦ったU-23日本代表の攻撃はロングボールが主体。守備でも前線から絶えずハードワークを求められた。
しかし、たとえ仕事の質が違ったとしても、臨機応変に対応しなければステップアップはできない。チームが立ち上げられた2014年1月から主軸を担ってきた大島は、忸怩たる思いを抱いて帰国したはずだ。
◆危機感
何かを変えなきゃいけない――。控えめで穏やかな性格ゆえに、フロンターレのチームメイトたちにも物足りなさを感じさせてきた大島の内側に生じた“変化”を、FW大久保嘉人は見抜いていた。
「危機感があったんでしょう。やらなきゃいけない、と」
168センチ、64キロというサイズもあって、昨シーズンまでの大島はどちらかといえば守備を不得手としてきた。自信がないゆえに積極的にかかわらなかったと、表現したほうがいいかもしれない。
しかし、今シーズンは違う。激しい肉弾戦を含めて、中盤でのハードワークを厭わないプレースタイルが攻撃面へも相乗効果をもたらしていると、大久保は表情をほころばせる。
「ディフェンス面で変わったよね。普通に体を入れて、ボールを取れている。相手の予測というものもできているので、安心して見ていられる。いままではディフェンスがあまり…だったんだけど、それが伸びてきた。みなさんも知っての通り攻撃は上手いから、ディフェンスができるようになったのは大きいですよ。実際、めちゃくちゃ効いているし、いまやチームの心臓になっている。ホントにたくましい」
生命線をつかさどる「心臓」という言葉まで用いて大島へ信頼感を寄せれば、ハリルジャパンにも招集されたFW小林悠もこんな言葉を紡いでいる。
「チームで一番大切な選手といっても決して過言ではないし、つねに謙虚な姿勢をもって成長し続けているので、こちらも負けたくないという気持ちになりますよね」
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《藤江直人》
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