■言葉は必要ない
1点を先制された直後に、ヴェルディはMF高木善朗を投入して反撃に出る。ジュニアユース時代から常に切磋琢磨してきた、同じ1992年生まれの無二の親友と敵味方で対峙するのは今回が初めてだった。
いまも心に刻むヴェルディでの懐かしい日々を思い出しながら、小林は決意を新たにする。
「あのときは(移籍も)考えていなかったし、いまでもヨシアキ(高木善)と敵のチームで戦うことが信じられない。でも、サッカーってこういうものなんですよね。何が起こるかわからない。(試合後は)ヨシアキと話はしていませんけど、抱擁は交わしました。サッカーには言葉はいりませんからね」
明治安田生命J2リーグ 39節 vs東京ヴェルディ
Posted by ジュビロ磐田 on 2015年11月1日
長丁場のJ2戦線も、残りは3試合。すでにアビスパとの直接対決を終えているジュビロは、ヴェルディ戦で「3」とした連勝を「6」に伸ばせば、自力で3シーズンぶりのJ1切符を手にできる。
復活したビッグマウスにも近い奔放なトークとともに、ひと皮むけたのではないか。メディアのこんな問いかけに、小林は無邪気な笑顔を見せながら首をヨコに振った。
「(J1に)上がったら『むけた』と言ってください。いまは『むけそう』と書いて。ホント、すごくいいところなので。今日もどちらが一人少ないのかわからない感じになった。それが、いまのオレらの実力です」
中学生時代から育ててくれた古巣への感謝の思いを胸の奥底に秘めながら、心技体のすべてが最高潮のリズムを奏でている小林が、もしもヴェルディのサポーターに言葉を残すとすれば。
しばしの沈黙と「うーん」という唸り声とともに、さらなる成長への決意が返ってきた。
「いやぁ、ないですね。プレーで見せたいと思います」と。