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【THE REAL】5年ぶりのJ1復帰…田村友の飛躍に見る、井原監督のアビスパ福岡改革の軌跡

オピニオン コラム
アビスパ福岡の田村友
アビスパ福岡の田村友 全 2 枚 拡大写真
福岡大学の乾眞寛監督は、教え子の田村をアビスパへ送り出すときにこんな言葉を贈っている。

「体格を生かしたコンタクトプレーに強い」

常に相手の標的にさらされることがストレスとなり、守備に対するネガティブな意識の源泉となっていた。そのストレスをコンバートで取り除けば、残るのは田村の潜在能力だけとなる。

■井原監督のチーム作り

日々の練習を通して田村へイズムを注入し続け、さらに4度ベンチ入りさせることでプロの真剣勝負を間近で感じさせた。最終ラインにケガ人が続出した事情もあったが、何よりもデビューへの準備が整ったと判断したからこそ、ルーキーをピッチに送り出したのだろう。

誠実で真面目な性格を反映させた井原監督のチーム作り。その象徴となった田村は、サンガ戦の勝利に貢献することで指揮官の期待に一発回答で応える。

「あまり選手を褒めるのはよくないんですけど…」

井原監督は苦笑いしながら、サンガ戦以降のリーグ戦全18試合に先発を果たした田村の成長に目を細めた。

「フィジカルが非常に強く、高さもあるなかで、もともとはボランチだったので攻撃をしっかりと組み立てられるのも彼の武器。4バックにも3バックにも対応できるクレバーさもある。チームが苦しいときにレギュラーを取って、その後も好調をキープしている。非常に大きな存在になっている」

最終ラインの一角に田村、守護神に20歳の中村航輔、ワントップに途中加入のウェリントン。前半戦とは異なるメンバーがピッチに立った最後の18試合で、アビスパはわずか1敗しか喫していない。

積み重ねた白星は、最終節まで続いた怒涛の8連勝を含めて14個。得点32に対して失点7と、攻守のバランスも至高のハーモニーを奏でた。一戦ごとに変わっていく自分とチームに、田村も手応えを覚えていた。

「とにかくセンターバックというポジションが新鮮で、何ら難しく考えることなくやれたのがよかったのかなと。1年目から『アジアの壁』と呼ばれた井原さんに監督として練習を指導してもらえるのは本当に嬉しいし、運がいいとも思っている。言葉の一つひとつに説得力があって、井原監督だから信じていこうというのも選手のなかにあると思う」

■好きなようにやらせてくれた

田村によれば、シーズンが深まるにつれて、キャンプから井原監督が口を酸っぱくして唱え続けてきた「ハードワーク」という言葉が聞かれなくなったという。

それだけ、指揮官が求めてきたふたつのテーマが選手たちの深層心理にすり込まれたのだろう。加えて、攻撃面では個性と自由な発想が何よりも尊重されたと田村は続ける。

「守備面の指導は本当に細かいけど、それ以外の部分は好きなようにやらせてくれました」

苦境に陥ったとき、あるいは思い通りの試合運びができないときに、一度立ち返る原点ができた。粘り強く守り、1対1の局面で後塵を拝しないと自分たちに言い聞かせながら、試合の流れが変わるときを待つ。

前半戦のアビスパは耐えて、耐えて、耐え抜いて最少得点差で逃げ切る接戦を身上とした。翻って後半戦になると、ベースができた安心感が大胆かつ相手の意表を突く攻撃面のコンビネーションを生み出す。

最終的にはジュビロ磐田と勝ち点82で並びながら、J1へ自動昇格できる2位の座を得失点差で逃した。しかし、過去に何度も上位クラブが下剋上の対象となってきたJ1昇格プレーオフでも、終盤戦でアビスパが発揮してきた無類の強さが継続される。

【田村友の飛躍に見る、井原監督のアビスパ福岡改革の軌跡 続く】
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《藤江直人》

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