【THE REAL】5年ぶりのJ1復帰…田村友の飛躍に見る、井原監督のアビスパ福岡改革の軌跡
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引き分けならばアビスパに軍配があがるレギュレーションのなかで、試合を動かしたのはセレッソだった。後半15分。ワールドカップに2度出場し、ゴールも決めているFW玉田圭司の左足が均衡を破った。
■負けている状況を想定
ビハインドを背負う展開は実に12試合ぶり。それでも井原監督は焦る素振りを微塵にも見せず、指文字で「3」と「0」を作って選手たちに伝える。まだ30分残っている、というメッセージだった。
同時にワントップをツートップへ変え、次いで中盤の陣形をチェンジ。時間の経過とともに、セレッソに与えるプレッシャーを増大させていった。
最後の交代カードが切られたのは39分。3バックの左を務めていた堤俊輔に代わってFW中原貴之が投入されるとともに、システムも4バックに変更された。
開幕連敗を喫した時点で、井原監督は4バックを一時的に封印した。3バックで手堅く勝ち、チームに自信を回復させながら、日々の練習で攻撃に比重を置く際のオプションとなる4バックを習熟させてきた。
強敵ジュビロと対峙した8月15日。キックオフから4バックで臨み、2対0で快勝した瞬間に、井原監督はJ1昇格を確信した。ふたつのシステムを使い分けられるめどが、ようやく立ったことが理由だった。
もちろん誰にも口外することなく、その後も4バックの精度を高めてきた。セレッソとの対戦が決まったJ1昇格プレーオフ決勝へ向けた練習では、紅白戦で主力組にあえて4バックでプレーさせた。
その意図を、田村は「僕たちが負けている状況を想定していました」とこう振り返る。
「セレッソのホームでの試合になったことを決してネガティブにはとらえず、自分たちのサッカーをしようと。アウェーだからといってそれほど悲観はしていませんでしたし、むしろセレッソのサポーターが多いなかで勝ってやろうと前向きな思いでいました」
■奇跡が起きたという感じ
セレッソが置かれた状況を踏まえて力関係を客観的に比較し、周到な準備を積んできたからこそ動じない。慌てない。切り札として据えていた4バック。センターを任されたのは濱田水輝と、田村だった。
左右のサイドバックに配置された亀川諒史と中村北斗を、後方で盤石の守備を敷くことでどんどん攻撃参加させる。J1昇格を告げる同点弾が決まったのは、システム変更からわずか3分後だった。
長い距離を駆け上がった亀川が送ったクロスを、同じく攻め上がっていた中村が角度のない位置から豪快に突き刺す。一連の流れを後方から見つめていた田村は、感無量の思いに浸っていた。
「信じられない。奇跡が起きたという感じです。喜びたいんですけど、とにかくびっくりしています。1年目からJ1昇格を経験させてもらって、すごくいい経験になりました。素直に嬉しいです」
【田村友の飛躍に見る、井原監督のアビスパ福岡改革の軌跡 続く】
《藤江直人》
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